Web広告について学び始めると、「広告費を払えば、その分だけ広告が表示される」と考えやすいかもしれません。
しかし実際には、同じユーザーへ広告を見せたい広告主が複数存在します。InstagramやGoogle検索の広告枠にも限りがあります。
そこで使われているのが広告オークションです。
Google広告やMeta広告などでは、広告を表示できる機会ごとに複数の広告候補が比較され、どの広告を表示するかが決まります。
今回は、Web広告のオークションとは何か、なぜ広告費だけでは決まらないのか、CPM・CPC・CPAとどうつながるのかを整理します。
この記事で分かること
- Web広告のオークションとは何か
- 入札額が高いだけでは勝てない理由
- Google広告やMeta広告で広告が選ばれる考え方
- オークションとCPM・CPC・CPAの関係
- 広告成果が悪化したときの見方
Web広告では限られた広告枠を競っている
例えばInstagramを利用している一人のユーザーがいたとします。
そのユーザーへ広告を届けたい企業は、転職サービス、旅行会社、ECサイト、オンラインスクールなど複数あるかもしれません。
しかし、一つの広告表示機会にすべての広告を同時に出すことはできません。
そこで、
「この表示機会では、どの広告を出すのか」
を決めるために広告オークションが行われます。
人間がその都度競り合うのではなく、広告配信システムが自動的に判断します。
Google検索広告では、ユーザーが検索するたびにオークションが行われ、広告を表示するか、表示する場合はどの位置に出すかが決まります。(Googleヘルプ)
一番高い金額を出せば勝てるわけではない
通常のオークションなら、最も高い金額を出した人が落札するイメージがあります。
しかしWeb広告はそれほど単純ではありません。
Google広告では、広告ランクを決める際に入札単価だけでなく、広告やLPの品質、競争状況、検索時のコンテキスト、広告フォーマットの見込み効果など複数の要素が考慮されます。(Googleヘルプ)
そのため、競合より入札単価が低くても、広告との関連性などによって上位に表示される可能性があります。(Googleヘルプ)
Meta広告でも同様に、単純に「最も高く払える広告主だけが勝つ」という考え方ではありません。
広告媒体にとっても、ユーザーにまったく関係のない広告ばかり表示してしまえば、サービスそのものの体験が悪くなるからです。
広告オークションではユーザーも重要
Web広告は、
広告主
広告媒体
ユーザー
という3者で成り立っています。
広告主は広告を届けたい。
広告媒体は広告収益を得たい。
一方で、ユーザーにはできるだけ適切な広告を見せたい。
そのため広告媒体は、広告主がいくら払えるかだけでなく、ユーザーにとってどの広告が適切かも含めて判断します。
この構造を理解すると、広告運用で「予算を増やせば解決する」とは限らない理由が見えてきます。
クリエイティブもオークションと無関係ではない
例えば同じ商品を扱う2つの広告があったとします。
一方は誰向けなのか分からず、訴求も曖昧です。
もう一方は対象ユーザーが明確で、訴求も分かりやすく、広告からLPまで内容が自然につながっています。
当然、ユーザーの反応にも差が出る可能性があります。
つまり広告運用では、入札や予算だけでなく、
WHO・訴求・フック・ビジュアル・広告文・LPとの整合性
などを改善する意味があります。
広告クリエイティブは、見た目を整えるためだけのものではありません。
オークションはCPMにもつながる
広告指標の一つにCPMがあります。
CPMは、広告が1,000回表示されるためにかかった費用です。
例えば広告費10,000円で50,000インプレッションなら、
10,000円 ÷ 50,000 × 1,000 = CPM 200円
となります。
同じユーザー層へ多くの広告主が広告を出したい場合など、競争環境が変化すれば、表示コストにも影響する可能性があります。
そのためCPMが上昇したとき、「広告が急に悪くなった」と決めつけるのではなく、競争環境の変化も考える必要があります。
CPM・CTR・CPCはつながっている
広告指標は別々に存在しているわけではありません。
例えば、
CPM:1,000円
CTR:2%
なら、1,000回表示して20クリックです。
広告費1,000円なので、
CPC=50円
になります。
同じCTRのままCPMが2,000円になれば、20クリックを得るために2,000円かかるため、CPCは100円になります。
逆にCPMが同じでも、CTRが1%から2%へ改善すれば、同じ表示費用から得られるクリック数が増え、CPCが下がる方向に働きます。
ここから、表示コストとクリエイティブの反応の両方がCPCに関係することが分かります。
CPCの変化はCPAにもつながる
さらに下流にはCPAがあります。
例えば、
CPC:100円
100クリック
CVR:5%
なら5CVです。
広告費は10,000円なので、
CPA=2,000円
です。
一方、CVRが同じでもCPCが200円になれば広告費は20,000円となり、CPAは4,000円になります。
そのためCPAが悪化したとき、原因が必ずLPやCVRにあるとは限りません。
CPM上昇 → CPC上昇 → CPA上昇
という場合もあれば、
CTR低下 → CPC上昇 → CPA上昇
という場合もあります。
CPAだけを見るのではなく、上流へ戻って原因を確認することが重要です。
予算を増やせば成果も比例するとは限らない
広告費1万円で10CV取れたからといって、10万円にすれば必ず100CVになるわけではありません。
予算を増やすと、これまでとは異なる広告表示機会にも参加することになります。
その結果、より多くの成果を取れても、CPAまで同じ状態を維持できるとは限りません。
Web広告は、同じ効率のまま無限に広告費を増やせる仕組みではないと理解しておく必要があります。
広告成果が悪いときは上流から確認する
広告オークションの考え方を知ると、成果悪化の原因を考えやすくなります。
例えばCPAが上がった場合、
CPMは上がっていないか。
CTRは下がっていないか。
CPCは上がっていないか。
CVRは変化していないか。
という順番で見ていきます。
すると、
競争環境なのか。
クリエイティブなのか。
LPなのか。
ターゲットや訴求なのか。
を切り分けやすくなります。
まとめ|広告費だけで広告表示は決まらない
Web広告のオークションとは、限られた広告表示機会に対して、どの広告を表示するかを決める仕組みです。
Google広告などでは、単純に最も高い入札額を提示した広告が必ず勝つわけではありません。
入札だけでなく、広告品質、関連性、ユーザーの状況、競争環境など、複数の要素が関係しています。(Googleヘルプ)
そしてオークションは広告指標にもつながります。
オークション
→ インプレッション
→ CPM
→ CTR・CPC
→ CVR
→ CPA
という流れで見ると、広告成果がどこで変化したのかを考えやすくなります。
Web広告は、広告費を払って固定された広告枠を買うだけの仕組みではありません。
限られた表示機会をめぐるオークションの中で、ユーザーへ届ける広告が選ばれている。
この基本を理解しておくと、なぜ予算だけでなくクリエイティブや関連性が重要なのかも、より分かりやすくなります。

