ECサイトやランディングページ(LP)、Meta広告などでは、
「通常価格9,800円 → セール価格4,980円」
といった価格表示をよく見かけます。
このように、販売価格と、それより高い別の価格を比較して表示する方法が二重価格表示です。
適切な根拠があれば商品の値下げ幅を分かりやすく伝えられますが、実際には販売実績のない価格を「通常価格」と表示したり、常時同じ価格なのに「今だけ」と見せたりすると、景品表示法上の有利誤認表示に該当するおそれがあります。
Meta広告やアフィリエイトでも価格訴求は使いやすい反面、数字が目立つからこそ根拠の確認が必要です。
この記事で分かること
二重価格表示の意味、通常価格として使える価格の考え方、メーカー希望小売価格や他社価格との比較、Meta広告・アフィリエイトで注意したいポイントを整理します。
二重価格表示とは?
二重価格表示とは、現在の販売価格と、それより高い比較対象となる価格を併記する表示です。
例えば、
通常価格9,800円
↓
セール価格4,980円
といった表示です。
消費者から見れば、「普段より安く購入できる」と判断する材料になります。
二重価格表示自体が禁止されているわけではありません。比較対象となる価格が適正であれば、値下げ内容を分かりやすく伝える方法として利用できます。
問題になるのは、比較対象の価格に根拠がなく、現在の販売価格が実際以上に安いと感じさせる場合です。消費者庁も、不適切な比較対照価格を使う二重価格表示は有利誤認に該当するおそれがあるとしています。
「通常価格」には販売実績が必要
初心者が特に注意したいのが、「通常価格」という言葉です。
自分で自由に設定した高い価格を通常価格として使えるわけではありません。
消費者庁は、自店で過去に販売していた価格を「当店通常価格」などとして比較対象にする場合、最近相当期間にわたって販売されていた価格である必要があると説明しています。
一般的な目安としては、二重価格表示を行う時点から遡った8週間について、
- その価格で販売していた期間が、販売期間の過半を占めている
- その価格での販売期間が通算2週間以上ある
- その価格で最後に販売した日から2週間以上経過していない
といった条件が示されています。個別事情によって判断は変わりますが、「1日だけ高値で販売して、その翌日から半額表示」というような方法では、通常価格として適切とは限りません。
メーカー希望小売価格との比較
二重価格表示では、
メーカー希望小売価格12,000円
→ 販売価格5,980円
という表示もあります。
この場合も、比較に使う価格は実際にメーカーが設定・公表している希望小売価格である必要があります。
メーカーが希望小売価格を設定していないのに、販売店が任意に作った価格を「メーカー希望小売価格」と表示することは問題になる可能性があります。
また、すでにメーカーが希望小売価格を撤廃している場合に、古い価格をそのまま比較対象として使うことにも注意が必要です。
他社価格との比較にも根拠が必要
「A社より3,000円安い」「地域最安値」といった他社との価格比較も、二重価格に近い考え方で注意が必要です。
比較広告では、比較内容が客観的に実証され、正確に引用され、公正な方法で比較されていることが重要です。
例えば、自社に都合の悪い他社の割引サービスを除外して比較したり、実際に価格調査をしていないのに「地域最安」と表示したりすれば、不当表示となるおそれがあります。
価格差を訴求するときは、いつ・どの商品と・どの条件で比較したのかを説明できる状態にしておく必要があります。
「今だけ」「期間限定」との組み合わせに注意
二重価格表示では、
「本日限定」
「今だけ50%OFF」
「期間限定価格」
といった表現を組み合わせることがあります。
しかし、実際には毎日同じ価格で販売しているのに「本日限定」と表示すれば、消費者は「今買わないとこの価格では買えない」と受け取る可能性があります。
過去の措置事例でも、通常価格や期間限定価格として表示された条件に十分な根拠がないケースが問題とされています。
限定感を出すこと自体が問題なのではなく、表示した期間や条件が実際の販売内容と一致しているかが重要です。
Meta広告では広告とLPの価格をそろえる
Meta広告では、画像や見出しに価格を大きく表示することがあります。
例えば広告画像に、
「通常9,800円 → 今だけ4,980円」
と表示しているのに、遷移先LPでは価格が変更されていたり、通常価格の説明がなかったりすると、ユーザーにとって分かりにくい状態になります。
広告を作るときは、
Meta広告
↓
記事LP
↓
広告主LP
まで価格やキャンペーン条件が一致しているか確認することが大切です。
Metaの広告審査を通過したことと、日本の景品表示法上問題がないことは別なので、法律面は別途確認する必要があります。
アフィリエイトでは価格を勝手に加工しない
アフィリエイトの場合、自分が商品の販売価格を決めているわけではありません。
そのため、広告主が公開している価格やキャンペーン条件を正確に確認して使う必要があります。
例えば公式LPでは、
9,800円 → 7,980円
なのに、記事LPで、
「半額」
と表現すれば、実際の条件とズレます。
また、「最大50%OFF」と書かれているものを「50%OFF」と書き換えるだけでも意味は変わります。
価格情報は変わることがあるため、公開後も定期的な確認が必要です。
価格比較では条件をそろえる
記事LPや比較記事で複数の商品を並べる場合は、価格の条件をそろえることも重要です。
税込価格と税抜価格を混在させたり、初回限定価格と通常価格を同じ条件として比較したりすれば、ユーザーが正しく判断できません。
比較するときは、
税込・税抜
通常購入・定期購入
初回価格・2回目以降
送料の有無
調査時点
などを揃えて表示すると分かりやすくなります。
価格が変動する商品なら、「2026年8月時点」など確認時点を示しておく方法もあります。
二重価格表示を使う前に確認したいこと
広告やLPへ掲載する前には、通常価格に十分な販売実績があるか、割引率の計算が正しいか、キャンペーン期間が実際の条件と一致しているかを確認します。
メーカー希望小売価格なら本当にメーカーが設定している価格か、他社比較なら調査条件が適切かも必要です。
さらに、広告とLPで価格が一致しているか、キャンペーン終了後に修正できる運用になっているかまで見ておくと安心です。
価格表示は作った時点だけ正しければよいわけではなく、運用中も最新状態を維持する必要があります。
まとめ
二重価格表示は、通常価格やメーカー希望小売価格などと現在の販売価格を比較し、値下げ内容を分かりやすく伝える表示方法です。
ただし、比較対象となる価格に根拠がなければ、実際より安く購入できるように見せる有利誤認表示となる可能性があります。
特に確認したいのは、
通常価格に販売実績があるか。
比較対象の価格が本物か。
割引率が正しいか。
期間限定などの条件が事実か。
広告とLPで価格が一致しているか。
という点です。
価格訴求は強い広告表現ですが、数字を大きく見せることよりも、なぜその価格がお得なのかを事実として説明できることが重要です。
Meta広告やアフィリエイトでも、短期的なクリックを狙って価格を強調するのではなく、根拠のある価格表示を正確に伝えることが、長く広告運用を続けるうえでの基本になります。
※本記事は景品表示法に関する一般的な学習内容を整理したもので、個別の価格表示について法的判断を行うものではありません。2026年8月時点の消費者庁公表情報を確認しています。実際の広告運用では、消費者庁・広告主・ASP等の最新情報をご確認ください。

