ChatGPTなどの生成AIを使っていると、「Zero-shot(ゼロショット)」という言葉を目にすることがあります。
Zero-shotは、AIに回答例を見せず、指示だけで作業を実行してもらう方法です。普段何気なくChatGPTへ質問している方法も、Zero-shotになっているケースがあります。
ブログ制作や広告分析、広告文のアイデア出しなど幅広く使えますが、指示が曖昧だと回答も安定しません。
今回はZero-shotの基本とFew-shotとの違い、広告運用での使い方を整理します。
この記事で分かること
- Zero-shotとは何か
- Few-shotとの違い
- Zero-shotのメリット・注意点
- プロンプトを作るときの基本
- 広告運用やAIワークフローでの活用方法
Zero-shotとは?
Zero-shotとは、AIへ具体的な回答例を提示せず、指示だけでタスクを実行させる方法です。
例えばMeta広告の配信データをAIへ渡し、
Meta広告の配信結果を分析し、CPAが悪化した原因候補を3つ挙げてください。
と依頼します。
このプロンプトには「このように回答してください」という完成例がありません。AIは指示と与えられたデータをもとに回答を生成します。
つまり、見本なしでAIに仕事を依頼する方法と考えると分かりやすいでしょう。
Zero-shotでは指示内容が重要になる
回答例を見せないからこそ、Zero-shotでは「何をしてほしいのか」を明確にする必要があります。
例えば広告データを渡して「分析してください」とだけ指示すると、数値の整理、原因の推測、改善提案などが混在する可能性があります。
そこで、
- AIに任せる役割
- 実行する作業
- 判断に使用する情報
- やってはいけないこと
- 出力形式や項目数
などを必要に応じて指定します。
例えば、
あなたはMeta広告の分析担当者です。入力データから確認できる事実を整理し、CPA悪化の原因候補を3つ提示してください。確認できない内容を事実として断定せず、改善策はまだ提示しないでください。
とすれば、AIが担当する範囲が明確になります。
Zero-shotは「短いプロンプトでなければならない」という意味ではありません。回答例を与えず、指示によって処理させることがポイントです。
Few-shotとの違い
Zero-shotと比較される方法に、Few-shot(フューショット)があります。
Zero-shotでは回答例を提示しませんが、Few-shotではいくつかの入力例と回答例をAIへ見せてから、新しい処理を依頼します。
例えば広告案件を、
「採用・保留・却下」
の3種類へ分類する仕組みを作るとします。
独自の判断基準がある場合、過去の案件と実際の判定結果を複数提示すると、AIが求められている判断や出力形式を理解しやすくなります。
簡単な要約やアイデア出しならZero-shotでも対応しやすい一方、独自ルールや決まった出力を再現したい場合はFew-shotが有効という違いがあります。
Zero-shotのメリット
Zero-shotの大きな利点は、準備が少ないことです。
回答例を用意しなくても、指示を作ればすぐ試せます。そのため、新しいAI活用を試したり、ワークフローの初期段階を検証したりする場合に向いています。
例えば、
ブログタイトルの候補を出す、文章を要約する、広告データから事実を整理する、広告コピーの案を複数出す、といった作業です。
最初から大量の回答例を準備する必要がないため、まずAIにやらせてみて、結果を確認するという使い方ができます。
Zero-shotの注意点
一方、見本がないため、AIが指示を独自に解釈する余地も大きくなります。
「広告を分析してください」という曖昧な指示なら、欲しかった数値分析ではなく一般的な広告改善策が返ってくることも考えられます。
また、同じ目的でも回答の構成や表現が変わることがあります。
人間が読む文章なら多少の違いは問題にならなくても、JSONなどの決められた形式で別システムへ渡す場合は、出力の揺れが問題になることがあります。
その場合は出力形式を明確に指定し、それでも安定しなければFew-shotを検討します。
広告運用ではどう活用できる?
広告運用では、さまざまな工程をZero-shotから試せます。
例えばMeta広告なら、配信データから事実だけを抽出する、CPA悪化の原因候補を整理する、広告コピーの案を作る、広告とLPの訴求が一致しているか確認する、といった使い方が考えられます。
AIワークフローを作る場合も同じです。
例えば、
広告データ → 事実整理 → 原因分析 → 改善案
という流れを作るなら、一つのAIにすべて任せるのではなく、それぞれの工程を分けて指示できます。
最初は各工程をZero-shotで作り、実際の出力を確認する。そのうえで、判断が安定しない工程だけFew-shotへ変更する方法があります。
最初から複雑な仕組みを作るより、必要な部分だけ精度を高められます。
AIに任せる範囲を狭くする
Zero-shotを使うときに意識したいのが、一つの指示に多くの仕事を詰め込みすぎないことです。
「広告データを分析して、原因を特定して、改善案を作って、新しい広告文も作成してください」
と依頼するより、
事実を整理する → 原因候補を考える → 改善策を考える → クリエイティブ案を作る
と工程を分けた方が、それぞれの結果を確認しやすくなります。
「推測を事実として書かない」「入力データにない数値を作らない」といった禁止事項を設定することも有効です。
重要なのはプロンプトを長くすることではなく、AIに何を任せ、何を任せないのかを明確にすることです。
Zero-shotから始めて必要な部分だけ改善する
生成AIを業務へ組み込もうとすると、最初から完璧なプロンプトを作りたくなります。
しかし、実際には一度動かしてみなければ、どこで期待とずれるのか分からないこともあります。
そこで、
Zero-shotで試す → 出力を確認する → 指示を修正する → 必要ならFew-shotにする
という順番で進めると、必要以上に複雑なプロンプトを作らずに済みます。
これはChatGPTとの単発のやり取りだけでなく、Difyなどを使って複数のAI処理をつなぐ場合にも使える考え方です。
まとめ
Zero-shotとは、回答例を提示せず、指示だけで生成AIにタスクを実行させる方法です。
準備が少なく、要約、アイデア出し、広告分析、コピー作成などをすぐ試せるのが特徴です。
一方、独自の判断基準を再現したい場合や、出力形式を安定させたい場合にはFew-shotが適していることもあります。
まずZero-shotで処理を試し、期待する結果との差を確認する。そのうえで役割、条件、禁止事項、出力形式を調整し、必要な工程だけ回答例を追加する。
このように段階的に改善していくことが、生成AIを実際の業務へ取り入れる基本的な進め方になります。

