広告について学んでいると、「同じ商品なのに、なぜ何種類もの広告を作るのだろう?」と疑問に感じることがあります。
例えば同じ転職サービスでも、「未経験からIT業界へ」「年収アップを目指したい人へ」「働き方を見直したい人へ」では、広告の内容が大きく異なります。
これは、同じ商品でもユーザーによって魅力に感じるポイントが違うからです。
広告では商品の特徴をそのまま並べるのではなく、
ターゲット → 悩み・欲求 → 訴求 → フック → クリエイティブ
と順番に考えることで、「誰に何を伝える広告なのか」が明確になります。
今回は、同じ商品からターゲット別に訴求とフックを作り分ける考え方を整理します。
この記事で分かること
- 同じ商品でも広告を変える理由
- ターゲット・訴求・フックの関係
- ターゲット別に広告を作る具体例
- 広告テストで確認するポイント
- AIを使って広告案を広げる考え方
商品の魅力は「誰が見るか」で変わる
例えば、オンライン英会話に次の特徴があるとします。
- オンラインで受講できる
- 初心者向けコースがある
- 夜間にも利用できる
- スマートフォンに対応している
- 無料体験がある
どれも同じサービスの特徴ですが、全員が同じ部分に魅力を感じるとは限りません。
忙しい会社員なら「夜でも自宅から受講できる」、初心者なら「初心者向けに学べる」、まず試してみたい人なら「無料体験がある」という部分が重要かもしれません。
つまり広告を作るには、商品の特徴だけでなく、
「誰に見せるのか」
まで決める必要があります。
ターゲット→悩み→訴求→フックで考える
ターゲット別の広告は、次の順番で整理すると分かりやすくなります。
ターゲット
↓
悩み・欲求
↓
訴求
↓
フック
↓
バナー・動画
↓
LP
例えばIT転職サービスなら、
ターゲット: IT業界に興味がある未経験の20代会社員
悩み: 経験がない自分でも転職できるのか不安
訴求: 未経験からIT業界への転職を目指せる
フック: 「IT業界って経験者しか無理?」
クリエイティブ: 若手会社員のビジュアル+フック+サービス説明
という形です。
訴求は「何を魅力として伝えるか」、フックは**「その魅力にどうやって注意を向けてもらうか」**と考えると整理しやすくなります。
同じ転職サービスでも広告は変わる
具体的に、同じIT転職サービスを3種類のターゲットへ広告すると考えてみます。
IT未経験の20代
悩みは「IT業界に興味はあるが、経験がない」ことです。
そこで訴求を「未経験者向けの転職支援」とし、
「IT業界って経験者しか無理?」
というフックが考えられます。
この広告では「未経験」が中心になります。
年収に不満があるエンジニア
すでにIT業界で働いている人に「未経験でも大丈夫」と伝えても意味がありません。
この場合は「経験を活かしたキャリアアップ」を訴求として、
「その経験、今の年収で評価されていますか?」
という方向が考えられます。
同じ転職サービスでも、広告の意味が変わります。
働き方を変えたい会社員
残業や休日など現在の働き方に不満がある人なら、年収以外の価値が重要かもしれません。
訴求を「自分に合った働き方を探す」とし、
「今の働き方を、この先も続けたいですか?」
というフックへ展開できます。
つまり商品は同じでも、
未経験・キャリア・働き方
と、ターゲットによって訴求の方向を変えられます。
広告では商品の価値を「翻訳」する
ここで重要なのは、商品そのものを変えているわけではないことです。
変えているのは、その商品がユーザーにとって何を意味するのかです。
未経験者には「新しい業界へ挑戦するためのサポート」、経験者には「キャリアを見直す選択肢」、働き方に悩む人には「環境を変えるための選択肢」になるかもしれません。
広告では商品の機能を説明するだけでなく、
「この人にとって、この特徴にはどんな価値があるのか?」
まで考える必要があります。
1つの訴求から複数のフックを作れる
さらに、ターゲットと訴求が決まっても広告は一つではありません。
「IT未経験者×未経験からの転職」という同じ組み合わせでも、
- 質問型:「IT業界って経験者しか無理?」
- 共感型:「IT転職に興味はある。でも経験がない」
- 行動型:「未経験からIT転職。最初に何をすればいい?」
- ターゲット指定型:「IT業界へ転職したい20代未経験者へ」
など複数のフックを考えられます。
そのため広告は、
1商品 → 複数ターゲット → 複数訴求 → 複数フック → 複数クリエイティブ
と展開できます。
広告クリエイティブを複数作る理由も、この構造を理解すると分かりやすくなります。
ターゲットは細かく分ければよいわけではない
ターゲット設定というと、年齢・性別・年収・趣味などを細かく設定したペルソナを想像するかもしれません。
しかし、広告制作で重要なのは細かさそのものではありません。
判断基準にしたいのは、
「ターゲットが変わることで、伝えるべき価値も変わるか?」
です。
未経験者と経験者なら訴求は大きく変わります。一方、24歳と25歳で悩みも訴求も同じなら、広告を分ける意味は小さいでしょう。
広告表現に影響する違いを見つけることが重要です。
広告とLPまで一貫させる
ターゲット別に広告を作る場合は、広告の先にあるLPとの一致も確認します。
「未経験からIT業界へ」という広告をクリックしたのに、LPでは経験豊富なエンジニア向けの求人ばかり説明されていたら違和感があります。
理想は、
ターゲット → 訴求 → フック → 広告 → LP → CTA
まで同じ方向を向いている状態です。
広告で興味を持った理由を、LPでさらに詳しく説明するイメージです。
最初のターゲットと訴求は「仮説」
ターゲット別に広告を設計しても、「この人にはこの訴求が刺さる」という判断は最初の段階では仮説です。
実際に広告を配信したら、CTR・CVR・CPA・コンバージョン数などを確認します。
例えば「未経験訴求はクリックされやすいが、働き方訴求の方がCPAは低い」といった結果も考えられます。
そのため広告運用では、最初から正解を当てることより、
仮説を作る → 配信する → 数字を見る → 仮説を修正する
という流れが重要になります。
AIは広告仮説を広げるために使える
ターゲット別の広告設計は、生成AIとも相性があります。
商品情報やLPをもとに、
ターゲット候補 → 悩み・欲求 → 訴求候補 → フック候補 → バナー案
と段階的に案を出してもらえば、人間だけでは思いつかなかった切り口まで広げられます。
ただし、AIが出した広告案が正解とは限りません。
AIで仮説の数を増やし、実際の広告データで選別する。
この使い方の方が、広告運用には向いていると考えています。
まとめ
同じ商品でも、広告は一つとは限りません。
ユーザーによって、悩み・欲求・不安・商品を利用したい理由が異なるからです。
広告を考えるときは商品の特徴だけを見るのではなく、
「この人にとって、この商品の魅力は何だろう?」
と考えます。
そこから訴求を決め、フックを作り、バナーや動画へ落とし込みます。そして実際に配信し、どの組み合わせが成果につながったのかを数字で確認します。
商品は同じでも、誰に伝えるかが変われば、伝えるべき価値も変わる。
ターゲット別広告とは、その違いをクリエイティブへ反映し、実際の反応から改善していく考え方だと理解すると分かりやすいです。

