広告クリエイティブの「訴求」と「フック」の違いとは?AIで60案を出して最終5案に絞るまでの考え方

広告クリエイティブについて学んでいると、「訴求」と「フック」という言葉が頻繁に出てきます。

実際に広告を作ろうとしたとき、私が最初に疑問に思ったのは、「訴求を15種類考えたら、15種類すべて広告にするのか?」ということでした。

さらに、1つの訴求から4種類のフックを考えれば60案になります。

「60案を全部作るのか」「最終的に5案程度しか出稿しないなら、なぜそこまで広げるのか」と疑問が増えていきました。

整理してみると、これは60本の完成広告を作る話ではありません。

AIで可能性を広げ、人間が検証する候補を絞り、最後は実際の配信結果から学ぶ。

今回は、この広告クリエイティブ制作の考え方を整理します。

目次

この記事で分かること

  • 広告の「訴求」と「フック」の違い
  • 15訴求×4フックで60案を作る意味
  • AIと人間をどう役割分担するか
  • 60案から最終5案へ絞る考え方
  • 出稿後のデータを次の広告へつなげる方法

「訴求」とは何を伝えるか

訴求とは、簡単にいえば「商品のどんな価値をユーザーへ伝えるか」という広告の中心テーマです。

例えば看護師向け求人サービスでも、給与、働き方、休日、サポート、安心感、求人の選択肢など、伝えられる価値はいくつもあります。

「より良い条件で働ける可能性」を中心にするなら待遇訴求。

「自分の生活に合った働き方」を伝えるならワークライフバランス訴求です。

同じサービスでも、どの価値を中心にするかによって広告の方向性は変わります。

「フック」とはどう振り向かせるか

一方のフックは、訴求へ注意を向けてもらうための入口です。

例えば「ワークライフバランス」という同じ訴求でも、

「今の働き方、このままでいい?」

「夜勤続きで自分の時間が取れない……」

「看護師の働き方は一つじゃない」

など、最初の見せ方は変えられます。

つまり、

訴求=何を魅力として伝えるか
フック=その魅力へどう振り向かせるか

という違いです。

広告制作では、ターゲット(WHO)を考え、その人に伝える訴求を決め、フックへ落とし込み、最終的なコピーやバナーへつなげていきます。

15訴求は15本の広告ではない

訴求を15種類出す目的は、すべて採用することではありません。

最初から可能性を狭めないための候補出しです。

自分だけで考えると、「転職なら給与だろう」と最初に思いついた方向へ偏る可能性があります。

そこでAIも使いながら、給与、休日、働き方、安心、サポート、キャリア、手軽さなど、いったん幅広く候補を出します。

この段階では「どれを採用するか」より、見落としている方向がないかを探すことを優先します。

15訴求×4フック=60案を作る理由

15種類の訴求について、それぞれ4つのフックを考えれば60案になります。

ただし、この60案も完成したバナーではありません。

クリエイティブを作る前の仮説候補です。

例えば同じ待遇訴求でも、質問から入るのか、悩みを提示するのか、数字を見せるのかで広告の印象は変わります。

60案まで広げる目的は、60本を出稿することではなく、最終的に選ぶ案の幅を広げることです。

大量の候補出しにAIを使う

ここは生成AIと相性のよい工程だと感じています。

人間が市場や競合広告、案件、LPを確認し、それを材料としてAIへ渡します。

AIには訴求候補を広げてもらい、さらに質問型、悩み型、数字型など複数のフックへ展開してもらいます。

Metaには現在配信されている広告などを確認できる広告ライブラリがあるため、競合がどのような訴求や表現を使っているかを調べる材料にもできます。 (Facebook Business)

AIにゼロから正解を決めてもらうのではなく、調査した材料から発想を広げてもらう使い方です。

AIが作った60案をそのまま採用しない

AIが大量に候補を出せるなら、そのまま5案まで選ばせたくなります。

しかし最終判断まで丸投げするのは避けます。

案件の実際の特徴と一致しているか、LPとメッセージがつながっているか、使えない表現が含まれていないかなどは、人間側でも確認する必要があります。

まず60案から、重複、案件との不一致、分かりにくい表現、LPと合わない案などを落とします。

さらに候補が減ったら、

WHOが明確か → 訴求が伝わるか → フックが訴求につながっているか → LPと一致しているか

という流れで確認します。

ここで10案程度まで絞り、実際にクリエイティブ化する候補を選びます。

最終5案は「順位」ではなく異なる仮説

最終候補を5案にするとき、特に気を付けたいのが似た広告ばかり残さないことです。

例えば5案すべてが「給与訴求」であれば、フックを変えても検証できる方向は限られます。

初期段階で訴求そのものを比較したいのであれば、

給与、ワークライフバランス、安心、手軽さ、求人の選択肢など、異なる仮説を残す方法があります。

一方、すでに有力な訴求が分かっているなら、その訴求を固定してフックだけ変えるテストもできます。

何を検証するのかによって候補の作り方を変えることが重要です。

MetaのA/Bテストに関する案内でも、比較したい要素以外をできるだけ一定にすることが基本とされています。 (Facebook)

最後は実際の配信結果から判断する

5案を選んでも、そこで正解が決まったわけではありません。

実際に広告を配信し、CTR、CPC、CVR、CPAなどを確認します。

クリックは集まるのにCVへつながらない広告もあれば、CTRは目立たなくてもCPAが良い広告が出てくるかもしれません。

そこで得られた結果を次のクリエイティブへ戻します。

例えばワークライフバランス訴求に反応があれば、次はその訴求を残して複数のフックを試す。

広く仮説を作る → 配信する → 数字を見る → 有力な方向をさらに掘る

という循環です。

まとめ

最初は「15訴求×4フック=60案」と聞いて、60本の広告を作るようなイメージを持っていました。

しかし実際には、

訴求=何を伝えるか
フック=どう振り向かせるか

を分け、最初に多くの仮説を作るための工程だと理解できました。

AIは大量の候補を広げるところで活用し、人間は市場・案件・LPを確認しながら検証候補を絞ります。そして、実際のユーザー反応を配信データで確認します。

最初から「当たる広告」を一つ考えるのではなく、仮説を広げ、絞り、試し、その結果を次の仮説へつなげる。

この流れで考えると、60案を出す意味も、最終的に5案程度へ絞る意味も理解しやすくなりました。

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